一時の平和を得た義侠は北平攻略のために着々と上級兵を溜め込んでいった。
みんな戦争をし続けていたので内政にダメージを受け、中々大砲と呼べる主砲を作れずに苦労していた。
よやく攻略の見通しがつき、ついに制圧ランク上位に躍り出るチャンスが訪れる。
北平攻略を開始したのだ。
全員が北平に向けて主砲を発射した。後はワクワクしながら寝てまつだけだった。
そのとき、思いもよらない敵が現れる。
古巣、天下布武である。
天下布武はこのタイミングを待っていたかのように義侠盟主の発狂に電撃戦をしかけてきた。
主砲が北平に着弾する寸前、発狂はこの電撃戦で陥落してしまう。
北平攻略寸前で義侠はなんと配下同盟となってしまったのだ。
天下布武は確実に義侠内部の情報を得ており、北平攻略のタイミングを狙いすましたかのように攻め込んできた。
このまま北平を陥落させると、北平の所有者が天下布武になってしまう。
それを避けるため、急遽北平の隣接をもっていた嶺上開花同盟に兵器だけの出兵を依頼、北平を落としてもらうことにした。
兵士の殲滅は無事完了、義侠メンバーの大砲が見事に炸裂した。
しかし攻略ボーナスは受けとれないのだ、歯を食いしばりながら嶺上開花が北平を落とすのを眺める。
配下になり兵士を消耗し、攻略ボーナスは受けれない、義侠悪夢の1日となった。
しかし最悪の事態ではない、北平を天下布武の手に渡すのは防いだ。
義侠は配下となったものの、北平を交渉材料として使い、戦争にも強い同盟として、配下のままで外交を行った。
今考えると配下同盟相手にいろいろな同盟がよく外交してくれたと思う。
当時城の1つである雲南を保有していたランク同盟とも外交を行った。
鯖内のいろんな同盟が手を組む中、ランクは珍しく孤高の同盟というイメージだった。
トップランカーも多く、対人戦で消耗していないので内政力は抜群、義侠とは別の意味で強い同盟だった。
そして義侠、ランク、嶺上開花の3同盟による大型合弁の話が進んだ。このころの外交努力は相当なものだった。
日々交渉、協議を重ね、まずはランクと嶺上開花が合流した。
そしてタイミングを見て嶺上開花のメンバーに兵器を出してもらい、義侠を天下布武配下から救出してもらう作戦をすすめていた。
救出が完了した瞬間、義侠は天下布武を攻撃できる状態になる。
古巣と二度目の戦争だ。今回は完全に報復戦争である。
発狂の「草一本生えない焦土にします」という言葉を聞いて、この人は絶対敵にしたくないと思った。
戦争準備万端で義侠メンバーは嶺上開花の開放部隊の到着を待った。
この時救出されやすいように義侠盟主を務めていた拓也がALLYを流した。
「○時○分○秒に解放されます。その瞬間から天下布武との戦争開始なのでみなさん準備してください。」
拓也は大きなミスを犯した。
義侠には天下布武への内通者がいるのだ。発狂への電撃戦のタイミングからもそれは明らかだった。
そして恐れていた自体となる。
嶺上開花からの救出のための兵器、この解放部隊の着弾のなんと2秒前を狙ってに天下布武盟主から援軍が飛んでくるではないか。
拓也は自分の兵士は城から出していたが、この援軍が到着すると兵器が全て破壊されてしまう。
これはまずい、救出が失敗する。
拓也は援軍撤退ボタンを1秒以内にクリックすることでこれを回避しようとスタンバイした。
私も固唾を飲んでモニタを見つめた。
まず天下布武からの援軍が到着、嶺上開花の兵器は・・・・・・・・全て援軍に破壊されてしまった。
ラグが発生することを考慮すると、1秒以内に撤退処理するのは不可能に近かった。
こうして義侠の救出は失敗に終わった。
この時、常に冷静な拓也がはじめて感情的になったのを見た。
拓也「くそぉぉおおおお!」
私は、もう一回兵器うってもらえばいい、少し救出が遅れるだけだ、と気にもしない風に言ったが、拓也は自身の犯してしまったミスに相当責任を感じているようだった。
拓也「少し頭冷やしてくる」
そう言うと拓也はスカイプからログアウトした。
それにしても2秒間隔で援軍を送ってきた天下布武盟主の腕も大したものだ。
そしてこの教訓を活かして、兵器着弾時間は誰にも言わなないことを肝に銘じ、数日後2度目の救出作戦が行われた。
無事義侠は救出され、ついに天下布武との全面戦争がはじまった。
戦力の差は明白で、義侠は怒涛の攻めで侵攻した。
盟主を落とされ、許せないとはいえ、元同盟員との戦争というのは妙な気分になる。
天下布武の全員が憎くて戦争をしているわけではないのだ。
練馬の呑兵衛は攻撃する拠点名で天下布武時代の元仲間と会話していた。
【義侠】ほんとは攻撃したくないよ~が【天下布武】○○を攻撃しました
【天下布武】それはこっちもだよ!が【義侠】○○を攻撃しました
同盟に残るもの、同盟を飛び出したもの、道は違えどどちらも信念を持って選択した道だ。
こうして戦うのは運命の皮肉だが、どちらも手を抜くことはなかった。
そして対天下布武との戦争は一方的なものとなり、盟主は遠方に移動されていたので配下にはできなかったが、義侠が隣接している天下布武同盟員はほぼ陥落させた。発狂が言っていた通り、ほとんどの拠点を剥ぎ取って。
天下布武との戦争終結のタイミングで、ランク(嶺上開花)に引き上げを依頼、ようやく3同盟の合流が完了し、城2個保有の大同盟が誕生したのだ。
~第四章へ続く~