合流後、まったく異なる3同盟が集まったことから、新しい同盟名を考えようと、全員から意見を募り投票となった。
誰でも案を出してOKだったので、私は「デスメタルポンキッキーズ(略称DMP)」という案を出した。
3秒で思いついた名前だ。
なんとこの名前が投票の結果当選してしまった。
(次点は「カレー同盟」だった気がする)
こうして同盟ランク4位、城2つ保持で制圧ランク2位の同盟「DMP」が誕生した。
ランク、嶺上開花、義侠の3同盟は、DMPの目標を制圧ランク1位とすることで同意していた。
当時制圧ランクトップはギルド同盟で、トッププレイヤーも多く、戦争にも負けたことのない王者のような同盟だった。しかし保有している城は成都、建業の2つで、DMPとの制圧ポイントの差はわずかだった。
この差ならなんとかなる、と思っていた矢先、プラネタリウム同盟が許昌を落とし袁紹とあわせて2つ、ピクルス同盟(次期絡むことになるASISが盟主)が長安を落とし、武将砦の差でDMPは制圧ランク4位に落ちてしまう。城はこの4つの同盟で全て分けられていた。
この4同盟の制圧ランクの差はわずかなはずだ。
この差なら、DMPは城を1つでも手に入れれば制圧ランク1位に躍り出れる計算だ。
城さえ奪えばいける!
この時期、「共同戦線」という連合が結成されつつあった。
そこにはトップ同盟のギルドも所属しており、ピクルス同盟も入っていた。
DMPとプラネタリウムはある程度交流があったので、協議をしつつ共同戦線に入らずにいたが、ある日プラネタリウムがなんと共同戦線入り。
これでDMP以外の城持ち同盟が全て共同戦線に入ったことになる。
DMPにも加盟の誘いが来るが、こんなとこころに入れば制圧1位など不可能になる。
しかし、どこか1同盟ならまだしも、3つ相手に戦って勝てるはずもない。
だからといって、DMPの目標、制圧ランク1位を諦めるわけにもいかない。
こうして目標は、DMPも隣接を所有していた、ギルドの建業奪取、攻撃はゲーム終了2日前と決まった。
一気に落としてゲーム期間終了まで逃げ切る作戦だ。
この時ゲーム終了まで1週間を切っていた。
DMPのメンバーは、盟主本拠地や、保持している北平と雲南に十数万の援軍を送り込み、残る兵力を全て建業に叩き込むことになった。
この時私は建業付近の前線攻撃部隊の指揮官に任命されるが、結果的にはあまり働けなかった。城の攻略は、ほぼ遠距離からの主砲頼みになる。
1月5日22時。DMPの命運を分ける最後の突撃が開始された。
総数100近いDMPの主砲が建業に着弾しはじめる。
ここで異変が起こった。
「着弾したのに報告書がこない」
「兵隊無傷で帰ってくるんだけど」
「てか兵士がどっかに消えたw」
おかしい、何かがおかしい。
私の主砲も着弾時間になってもログに出ず、部隊はどこかに雲隠れしてしまった。
糧は減り続けている。
こ、これは・・・・サーバ負荷による遅延・・・・
一番大事な時にとんでもないことになった。
DMP内は叫び声と諦めの声、「俺達は砦よりも大事なもの、そう、鯖を落としたんだ!」と言うもの、反応は様々だったが、じっと待つことしかできなかった。
この遅延は着弾開始から翌日まで約12時間続いた。
兵器の後に兵士が着弾するなど、見るも無残な突撃となった。
※後の運営からの発表では、戦闘で死んだ兵士の維持費(糧)の再計算が、着弾と同時に行っていたため起こった負荷だったらしい。その後、維持費の計算を別のタイミングにすることで着弾と同時に一気に負荷が増えることを回避したようなので、今は起こらない。しかし数秒の間に何十発も着弾させるのは危険かもしれない。
建業はギルドメンバーの援軍がどんどん送り込まれ、落とす事はほぼ不可能となった。
結果的にみると、鯖の遅延がなくても落とすことはできなかったかもしれない、しかし最後の突撃は綺麗にヒットしてほしかった。綺麗に散りたかった。
そのころ北平に中堅規模のFL同盟から、我々とおなじような最後の突撃をうけたが、防衛兵を大量においていたため難なく防ぎきった。
最後に胸を借りる!という意気込みで、気持ちのいい突撃だった記憶がある。
突撃開始の翌日、ゲーム終了まで8時間、建業の攻略に失敗したDMPは、まだ制圧1位を諦めていなかった。
制圧ポイントの差が小さいなら、通常のNPCを増やせばまだいけるかもしれない。
NPCをある程度もっていてあと8時間で落とせる同盟。
白羽の矢がたったのは無双同盟だった。
当時あまり活発な活動をしていなかった無双同盟だが、NPCの数は10個以上保持していた。
無双同盟盟主に猛烈な速度で隣接。持っている兵士をとにかく全部突っ込ませた。
しかし建業にほぼ全兵士を突撃させており、ほとんど残存兵力がない。
特に兵器が少ない。
100台、50台という単位で兵器が打ち込まれる。
比較的安全だった雲南に送り込んでいる援軍を引き返し、突撃させる人もいた。
なんとか無双同盟を落としてNPCの数を上乗せしたが、制圧ランクはまったく変化しなかった。
同盟員の枠をまだ大量に余らせていたDMPは、NPC砦を多く持つ同盟に吸収の打診をする。
まさに最後のお願い。
しかし当たり前だがこれに応じる同盟などいなかった。せっかくもらえるシルバーチケットをみすみす手放すことになるのだから。
最後のあがきもむなしく、そのまま無念のタイムアップ。
制圧ランク4位、同盟ランクは2位という結果でブラウザ三国志mixi1鯖一期を終えた。
他にも細かい事件はたくさんあったが、こうして書いてみると戦争もし、配下にもなり、城の攻略もし、鯖落ちも経験し、本当にいろいろあった1期だった。
何があろうと上を目指す義侠、DMPの精神が私は大好きだった。
たかがゲーム、されどゲーム、トップを目指すほど楽しいことはない。
しんどいけど・・。
歴史書モードになり、みんなで労をねぎらい合いながら、わいわいと騒いでいても、何故か発狂だけは少し沈んでいた。
鮫肌「どうしたんですか?」
発狂「同盟を制圧1位にするという皆への約束を果たせませんでした・・・」
鮫肌「でも、めちゃくちゃ楽しかったからいいじゃないですか」
発狂「同盟員、特に天下布武を共に飛び出してくれた人たちに対して申し訳ない・・・」
鮫肌「来期がありますよ、来期が」
発狂や私やその他大勢の戦友たちはもう2期目を見すえていたのだ。
そしてその直後の発狂からの一言が2期の私の運命を決めた。
発狂「鮫肌氏、来期は盟主やってください」
鮫肌「いいよ~」
この軽い返事の重みを後々思い知らされることになるのだが、この時まだ知る由もなかった。
~第五章へ続く~